2026年10月23日金曜日

成田先生のこと 推敲 19

 成田の著作に見られる正直さや率直さ

 成田は精神療法とはいかにあるべきかについて常に考え続けていた人である。それが精神療法そのものを主題とした数多くの論文や著作に表されている。それはほとんど「成田療法」と名付けてもいいような独自性や一貫性を有するのだが、その全体を通して流れているのが、上述の自由さと表裏をなす正直さや率直さである。これは成田の最後の著作のタイトル(「まっすぐに」患者と向き合う)にある「まっすぐ」であることとほぼ同義であるそれは彼の人柄を表すと同時に、精神療法家の在り方として追及した姿でもある。これはロジャース的な「自己一致」の見事な例と言える。

成田 善弘 (2024) 成田善弘 心理療法を語る: 「まっすぐに」患者と向きあう. 金剛出版社

 成田の率直さは彼の数多い著作に見られる筆致に表れている。成田の語りはいかにそれが奥深くても不思議と難解さは感じられない。それらは時にはエッセイ風に、どちらかと言えば軽いタッチで語られているからである。時には何らかの引用の後に典拠を示す代わりに「誰の言葉かは忘れた」などと書かれていると、読む側の肩の力もスッと抜ける。