ここで改めて成田先生は関係論的かと問うてみよう。私はそうだと思う。それは成田先生が自分の考えを患者に伝えることに非常に重きを置いているからだ。成田は「自分の精神療法の二大原則は、『困ったときは正直に言う』、『わからないことは患者に聞く』です。」((成田(2023) 講演「質問に応えて」2023年6月17日 倭木の会)同 p.3)という。 成田が掲げているこの二つの原則は、それ自体が彼の臨床感が極めて相互交流的 interactive であることを示している。もちろん成田はいかに患者に共感するかを第一に考えているのであろう。しかし彼は心理療法を抽象的に捉えるのではなく、どのように患者にとって役に立つかを常に考えている。それがこれらの二つの原則の意味するところであり、受け身的に話を聞くことは、効果的に患者に言い、患者に尋ねるための手段というニュアンスがある。 従来の精神分析では治療者が自分のことに目を向けたり、自分を語るのに非常に抑制がかかっていた。それは精神分析的療法それ自体が受け身性を基礎としていたからであろう。自由連想を促すことにより、自然と無意識内容が浮かび上がってくる、そして治療者が余計な口出しをすることはその無意識内容にバイアスをかける事につながるというのが精神分析である。