2024年7月30日火曜日

解離性障害 Q&A その 4

 多くの場合、当人の持っている解離性障害について知識を持つ友人や同僚が当人に解離性障害の可能性について伝え、最後に当人が自らの体験が解離であることを知るということが生じます。当人は自分の中に起きている不思議な現象を話しても理解されないのではないか、おかしな人と思われるのではないかという懸念から、症状を隠す傾向もあり、そのためこの障害の同定がより難しくなります。
 いったん精神科の外来への受診が開始され、その病状に対する正しい判断がなされたのちには、現在の解離症状が継続したり悪化させている要因が取り除かれる必要があります。現在の居住環境や学校、職場でのストレス因が軽減されることが図られる一方ではカウンセリング等により当人の体験している解離症状についての聞き取りや理解が治療の決め手となることが少なくありません。また解離症状そのものに対して効果を発揮する薬物はありませんが、うつ病や不安障害などの問題を同時に抱えている人にはそれらの症状に対する薬物治療なども行われます。

④家族や友人はどのようなサポートをすることがいいのでしょうか?

 この問いは少し複雑な問題をはらんでいます。もちろん家族や同僚のこの障害への理解は不可欠です。ただし解離性障害が幼少時の家庭環境に根差している場合、家族の存在そのものがストレスとなり、解離性障害を永続化させている可能性があるためです。場合によっては当人を原家族から救い出すための第三者の存在が不可欠であったりします。
 学校や職場では解離症状が起きた時の様子、どのように扱えばいいかについてあらかじめ伝えていた方がいい場合があります。例えば暫く記憶を失ったり、朦朧となったり倒れたりする場合に、すぐに救急車を呼ぶのではなく、しばらく教室や仕事場を離れて様子を見守るなどの対応がもっとも適切であったりします。ただし解離性障害の存在を伝えることで特別扱いを受けてしまう、場合によっては差別的な目で見られてしまうなどのことが生じる可能性もあるため、誰に、どこまで伝えるかは難しい問題もあります。しかし一番親しい友達、職場の上司などには伝えておくことがよい場合が少なくありません。