2024年7月31日水曜日

解離性障害 Q&A 推敲 1

 ①「解離」とは、どのような現象でしょうか?

 「カイリ」という言葉は最近よく耳にするようになっていますが、それを説明することは決して容易ではありません。解離は私たちが特殊な状況で、心や体の状態をスイッチさせることであり、それにより危機を乗り越えることが出来たりします。そこで生じることは実にさまざまで、意識が遠のく、記憶を失う、手足の感覚がなくなる、など、通常の働きが急に抜け落ちるという形をとる場合が多いのですが、時にはどこかから声が聞こえる、自分の口が勝手にしゃべりだす、手足が勝手に動き出す、など心身が勝手に動き出すという形を取ることもあります。解離は意図的に制御することは出来ず、突然始まることが多いため、当人も周囲も戸惑うことも少なくありません。この解離症状には、いわゆる幽体離脱や憑依現象、こっくりさん、多重人格状態、スポーツで見られるイップスなども含まれます。

 解離がどの様な現象かを説明しようとすると、少し抽象的な言い方になりますが、心や体に「自分以外の中心」が現れて心身をコントロールするようになった状態と考えて下さい。なぜそのようなことが起きるかはほとんどわかっていませんが、その中心が手足を麻痺させたり、本人の口を借りて勝手にしゃべったり、幻聴として話しかけてきたりします。
 一時的な解離は催眠や、酒や薬物の使用時に起きることがあります。しかし頻繁に生じ、新たな人格まで形成されるような複合的な解離の場合、しばしば原因として考えられるのが、特に幼少時のトラウマや大きなストレスです。その体験の強烈さが自分の心のキャパシティを超えた時に、このような不思議な現象が起きると考えられています。