2024年7月29日月曜日

解離性障害 Q&A その 3

  以上述べたもの以外に、解離性障害の中には離人感・現実感喪失症が掲げられています。これは他の解離性障害と違い、人生のいつかの時点で突然前触れもなく生じ、その後長くその人を苦しめる可能性があります。またこの障害は解離性健忘を伴っていないことも少なくありません。ただ離人感・現実感喪失症は、他の解離性障害の一部の症状としても、あるいはうつ病の症状としても生じることがあります。
 これ以外に従来転換性障害、身体化障害などと呼ばれていたものも、分類によってはこの解離性障害の中に入ってきます。突然足に力が入らなくなったり、耳が聞こえなくなったり、急に言葉が出なくなったり、という症状が比較的多いようです。冒頭で解離の説明として「心や体のスイッチ」が生じる、という言い方をしましたが、それはこのように身体感覚や運動のレベルでも生じることが知られており、それも解離性障害と同類であるという考え方も成り立つからです。これらの症状も、多くはトラウマやストレスをきっかけとして突然生じたり消えたりする傾向にあります。


③解離性障害の治療や対処には、どのようなものがありますか?
解離性障害の対処としては、まず正しい理解と診断を得るということが大切です。解離性障害は決してその診断が難しかったり特別な専門的な知識を必要としているわけではありません。その意味ではほかの精神疾患と同じです。ただし治療者の側に解離性障害という診断を下すことに抵抗があったり、その疾患自体を受け入れがたいということも起きています。その意味では非常に特殊な精神疾患と言えるかもしれません。