2023年7月27日木曜日

連載エッセイ 6の10

  

Bing に体外離脱の絵を描いてもらった。しかしかなり手直しをする必要があった。


コンピューターでは可能なタイムシェアリングが、人間にはなぜ不可能なのだろうか?それを考える際には、人間の右脳を構成する神経系のスピードの速さとコンピューターの情報処理の速度が参考となる。たとえばCPUのスピードが1ギガヘルツのパソコンなら、1秒間に10億回、「1+1」の演算が出来ることになる。それに比べて脳のニューラルネットワークは1秒間にせいぜい数百回程度得あるという。つまり脳の場合は一秒間にせいぜい数百個の電気パルスを出すに過ぎないということだ(前野, 2004))。つまりつまり計算の速度はコンピューターと脳では100万倍以上の差がある事になる。これではすり替わったとしての目の粗さは歴然である。分身の術を使うために出来る限り素早く入れ替わったとしても、スピードが十分速くないと、「あ、二人いる」という錯覚は生まれないわけだ。というわけで人間の脳については、タイムシェアリング型はボツということになる。

前野隆司(2004)脳はなぜ「心」を作ったのか。―「私」の謎を解く受動意識仮説. 筑摩書房p.199)


人間の脳のマルチコアとしての性質


 多重人格状態をパソコンにおいて複数のアプリが立ち上がった状態になぞられた場合、タイムシェアリングは不可能らしいということになった。ではマルチコアはどうだろうか? ここでお断りしておくならば、人間の脳は生まれながらにしてデュアルコアなのである。それは脳が基本的には右脳と左脳に分かれており、それぞれがある程度独立して機能していると考えられているからである。