2022年8月9日火曜日

パーソナリティ障害 推敲 8

診断のあたりも大分文章が整ってきた。多くの若い精神科医が使うテキストの様なものなので、とても緊張しながら書いている。

3.診断
カテゴリカルモデルに基づく診断


 これまでに見たとおり、カテゴリカルモデルはICD-10 (2013), DSM-5(2013) 第Ⅱ部まで踏襲されてる。またDSM-5の第Ⅲ部に示された代替案(いわゆるハイブリッドモデル)には、第Ⅱ部で示された10のカテゴリーのうち6つのPD(反社会性、回避性、自己愛性、強迫性、統合失調型)が示されている。
 DSM-5第Il部で示されるPDの10の類型は、DSM-Ⅲ(1980)より30年以上にもわたってその内容に実質的な変化が見られないことは注目に値する。またこれらは1987年のDSM-IIIR(1987)以降3群のクラスターによって分類されるのが慣例とされている。これらの概要を以下に示す(訳はDSM-5日本語版「big book」より)

(中略)

なおDSM-TRまでは「特定不能のパーソナリティ障害」が掲載されていたが、DWSM-5においては新たに「他のパーソナリティ障害」というカテゴリーが設けられ、その中に「他の医学的疾患によるパーソナリティ変化」、「他の特定されるPD」と共にこの「特定不能のPDが挙げられている。またそれぞれの診断基準は7~9の項目のうち3~5が該当することで満たされるといういわゆる「ポリセティック」な形式を取っているところも従来と変わらない。

ディメンショナルモデルに基づく診断

 DSM-5(2013)ではそれまで準備されていたディメンショナルモデル寄りのモデル(より正確には「ハイブリッドモデル」)は、「第Ⅲ部 新しい尺度とモデル」の中に「パーソナリティ障害群の代替モデル」として掲載されるにとどまった。そしてICD-11ではこのハイブリッドモデルからさらに一歩踏み込んで、PDに関して全面的にディメンショナルモデルを採用している。このICD-11におけるPDをモデルにしてディメンショナルモデルに基づく診断について説明する。