2018年3月9日金曜日

解離の本 その4



4.治療開始への不安や抵抗
様々な経緯を経て治療者にたどり着いた患者さんは、多かれ少なかれ不安や抵抗を抱いています。多くの場合、いくつかの人格がそれぞれ治療を受けることに対して別の考えを持っています。治療に積極的な人格がアポイントメントをとっても、当日は別の人格が朝から出ていて来院を拒む、ということもおきます。そのような不安や抵抗を少しずつ取り除くことが、最初の課題となります。それまでの体験から、多くの人は見知らぬ他者に助けを求めることへの希望を失い、時には強い不信や怒りさえ抱えています。まずは治療者に会うのを受け入れてもらうことが、治療への第一歩です。
以下にこれらの不安や抵抗を克服して治療開始に至ったいくつかの例を示します。

ケース 1(略)

ケース 2(略)
  
解離性障害の患者さんは、自分よりも相手のことを気にかける傾向があり、周囲に負担をかけているという懸念が受診や来談を後押しする場合もあります。治療の導入では、その時々の患者さんの気持ちや考えに沿いながら話を掘り下げていくことが最も重要です。
患者さんによっては、人格交代を始めとする様々な症状そのものが「自分の思い込みや勘違いではないか」という疑問を抱いていることもあります。