解離の本 その5
症状は演技?と自分を疑う人
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解離性障害の人は誰かに言われたことがそのまま取り込まれてしまい、それが自分の感覚とはかけ離れた意見や指摘であっても、その言葉や考えがそのまま心に残ってしまい、突然よみがえってきます。これは通常の私たちの生活でもある程度は起きることですが、解離性障害の場合にはそれが極端に生じます。その結果としてこの例のように、一方では症状を実際に生きながら、他方ではその信憑性を疑うという矛盾した体験さえ生じるのです。そしてこのことは医療者側にさらに混乱や疑念を招くという悪循環が起きることがあるのです。「人格の存在は演技である」という一種の「神話」はこうやって継承されてしまう可能性があります。