うつ病についての問題意識を喚起する上で、次のようなことを考えてみて欲しい。「うつとは心の弱さなのか?」ここでしばらく前にネットで拾った記事を示す。(文中・・・は中略の意味)
笹川総務会長のトンデモ発言 「国会議員はうつ病にならない」(2009/3/16 20:31 JCAST NEWS)
自民党の笹川尭総務会長は2009年3月14日に大分市内で行われた党大分県連の大会で、「国会議員は気が弱くては務まらず、うつ病になる人は一人もいない」と発言し、波紋が広がっている。・・・ 笹川氏は以下のように発言したという。
「今、うつ病で休業している先生(教師)がたくさんいらっしゃる。国会議員には1人もいない。そんな気が弱かったら務まりませんから」
厚生労働省の調査によると、うつ病などの気分障害にかかる割合は5~6人に1人。また、患者の4分の3は治療を受けていない。かかりやすいのは、「几帳面で真面目、責任感が強い」「考え方に柔軟性が乏しい」「開き直りができない」という人だが、「特別な人がかかる病気ではなく、誰でもかかる可能性がある」と報告されている。心配や過労、ストレスが続いたり、孤独や孤立感が強くなったり、将来への希望が見出せないと感じた時に、かかりやすくなるそうだ。・・・ うつ病は身近で深刻な問題で、多くの人がかかっているにもかかわらず、笹川氏のように誤解している人が多い。国会議員も例外ではない。中川前財務大臣の父・中川一郎氏は1983年、札幌パークホテルのバスルームで自殺した。安倍内閣で農林水産大臣を務めた松岡利勝氏は在任中の2007年5月28日、衆議院議員宿舎で首つり自殺を図った。元民主党衆院議員・永田寿康氏は09年1月3日、北九州市内のマンションから飛び降り、搬送先の病院で死亡。家族あての遺書のようなノートと空になった焼酎の紙パックが残されており、自殺を図ったとみられる。市内の病院に入院中のことだった。3氏とも自殺前の様子から、うつ病やうつ状態だった可能性は強いとみられている。
もちろん笹川氏の発言はトンデモ、である。しかしこれは欝に対する私たちの抱きやすい観念を端的に表している。「欝はその人の心の弱さかもしれない。」 世の中には、うつの人を心が弱い人という色眼鏡で見て欲しくないと思っている人たちと、それほど強く思わない人がいる。しかし何らかの色眼鏡を私たちが心のどこかに持っていることは確かであろう。ちなみに誰が「色眼鏡で見て欲しくない」と思うのだろうか?それはうつを自分で経験したことのある人たちである・・・・。
さてこのおそらく少し長めになるであろう(実は2,3日で終わったりして。)続き物の最大のテーマは、「『欝は心の弱さの表れである』は誤解である」ということであるが、それには多少なりとも手続きが必要である。(続く)