2023年5月2日火曜日

連載エッセイ 3-2

 【心】を所有することが出来た私たちの近未来像を私なりに思い浮かべてみる。私たちは一人が一つずつ、ないしは複数のAIロボットを有することになるだろう。それは実際に人の形をしているかもしれないし、パソコンやタブレットの中に現れるだけの画像かも知れない。しかしそれなりの姿かたちや性質を持ち、そこに私たちは人格を感じるだろう。例えばA先生として私たちは理想的な相談相手を作り上げる。
 精神分析家ならフロイト先生のAI、「フロイトロイド」だったりする。それはフロイトの著作集、伝記、フロイト関連のあらゆる情報を網羅したデータベースを備えている。そして質問に答えるだろう。「フロイト先生、私は○○のようなケースを持っています。どのように診断し、理解したらいいでしょう?」あるいはもっと直接的な質問かも知れない。「フロイト先生、私は××のような問題に悩んでいます。どうしたらいいでしょう?」それに対するフロイトロイドの答えは極めて流暢で説得力がある。それはそうだ。チャットGPT

でさえ、これほど自然で流ちょうなのだ。それがはるかに進化したとしたら、相談相手に遜色ない程度の問題では既にない。私達人間が応答するよりはるかに高いレベルでの答えを出してくる。そう、ちょうど将棋や囲碁のソフトが、プロ棋士にとっても到底及ばないような「次の一手」を繰り出してくるようにである。