最後に
本章ではPDについての精神療法の総説的な解説を行った。精神療法家は患者の病態の理解や見立てを行う上で診断的な理解をある程度必要とせざるを得ない。しかしPDの概念は今なお流動的で、今後も更なる発展や変化を経る可能性を秘めている。カテゴリカルモデルとディメンショナルモデルはそれぞれ一長一短があるものの、その共存はさらなる混乱を招きかねない。本稿ではその際に患者が有するボーダーライン傾向、トラウマの影響、そして発達障害の影響を脳裏に持ちつつ、その治療に取り組むことを示唆した。冒頭にも述べたとおり、PDの治療はあらゆる病態の治療と同様に、患者という人間と治療者とのダンスにたとえられ、柔軟にかつブレない姿勢が求められることは、ダンスと同様である。その踊り方の指針としていくつかを示したことになるが、臨床家にとって少しでも参考になることを祈るばかりである。