私はドナルド・トランプ米国大統領のことは基本的には好きで応援もしている。しかしそう言うと絶対に反対の声が上がるだろう。あんなとんでもない人はいない、と。
私も彼はどうしようもない人だと思う。気まぐれで感情的でいい加減。女性蔑視なところも相当あるだろう。表面上は色々隠しているが。かなり平気でうそを言うし、偏見に満ちた発言が多い。そして何と言っても自己愛。自分で「自分はノーベル賞を受賞すべきだ」という人などいるだろうか。温室効果ガスはプロパガンダだと言い続けるし。
ただ彼のいいところは人が好きなことだ。気に入った人と仲良くなるのが好きで、ホイホイと会いに行く。敵同士のはずの関係の人にも胸襟を開いて会いに行く。北の国の将軍様とか。そこら辺に変なプライドは余りない。情には厚い方で、拉致被害者の声などにも耳を傾ける。基本的に育ちがよくて恨みがましさや妬みなども目立たない。そして基本的には血を見るのは好きではなさそうだ。仲を取り持って「どうだ、俺のおかげだろう」とドヤ顔をしたくてしょうがない。
でも恐らく一番政治家として大事なのは、職業政治家ではないということか。政治の世界でのし上がり、政界に君臨するということは考えずにやってきた人が気まぐれも手伝ってだいとうりょうになったのだ。これがとても大事なのは、職業政治家は様々なしがらみにまみれ、なにが正義かが分からなくなり、平気で国を売ったり、戦争をたくらんだりしかねないということだ。トランプはほかの大物政治家や財界人に必要におもねることなく、ごく単純に世界で起きていることへの「これっておかしくない?」という感覚を保っている。「人と人とが争っているって、駄目だよね。一番不幸なことだよね」という当たり前の正義感を保っているらしい。「人が死んでも、兵器産業はもうかるよね」という、常識ではありえない発想をするのが職業政治家であるとするなら、彼にはそのようなところはあまり見えない。
トランプさんはどうしようもないし、家庭人としては失格かも知れないが、単純な正義感に従うことが他の政治家よりは出来るという意味では、貴重な存在だ。あの「何をしでかすか分からない」ということも含めて。
トランプさんは俗物で、人間としてはちょい悪以上だろう。でも職業政治家の中にはかなりの大悪党もいることは周知のとおりだ。そうでないと勝ち残れないのが政治の世界だ。その意味では彼の存在は貴重なのだ。それにしても‥‥本当にショーもない人だ。
ところで一見そうには見えないが、トランプさんはもう79歳。あの年では昔で言う「脳動脈硬化」が関係してもおかしくないか。性格の偏り、ADHD、老化がいろいろ混じり合って、彼の行動はますます読みにくい。
