ここで忘れないうちに、この問題と男性のどうしようもなさとの関連について書いておこう。Toates の言うように、男性の性がsystem 1 とsystem 2 で成立しているということは、「男性はデフォルトが性的満足を得ることを我慢している存在」ということになる。つまりは酒に酔ったり、交通事故などで前頭葉が破壊された場合には、簡単に system 1 に支配されてしまうことになる。これは男性のどうしようもなさを、見事に示していることになる。
Toates のチャット君によるまとめを読んで、最初は「ナーんだ、それだけ?」と思った私だが、これだけでも十分重要な指摘なのだ。そしていったん火が付くとドーパミン系とグルタミン酸系が発動し,「鮭の遡上」反応が始まる。これ自体はポジティブフィードバックシステムの発動であり、身もふたもない言い方をすればファンタジー先行、対象不在なのである。いやファンタジーすら不在かもしれない。何しろグルタミン系は、「過学習された性的衝動の再活性化(=トリガー)→ 外部刺激によって自動的に活性化される神経回路の強化」だから、壊れたレコードのように再生を繰り返すだけなのである。そしてこれは限りなく強迫に近い。
強迫においては、強迫行為を繰り返す力がいかに強烈かは、昔強迫神経症の入院患者さんを間近に見て私はよく知っている。はるか昔の体験をここに書こう。
ある強迫の患者さんは普段は心優しい中年男性だが、加害恐怖が深刻になり、入院していた。彼はロビーにたたずんで、自分が歩いてきた後を振り返り、たまたま通りかかった私に、「そこに誰かが(自分が殴ったせいで)倒れていないか」をかなりしつこく問うてきた。(もちろん誰も倒れているはずもない。)私も何度も同じ質問をされて嫌気がさし、また彼のためにも必要かと思い「もうお答えできません」と言った。すると彼は私に殴りかかってきたのである!
ある強迫の患者さんは普段は心優しい中年男性だが、加害恐怖が深刻になり、入院していた。彼はロビーにたたずんで、自分が歩いてきた後を振り返り、たまたま通りかかった私に、「そこに誰かが(自分が殴ったせいで)倒れていないか」をかなりしつこく問うてきた。(もちろん誰も倒れているはずもない。)私も何度も同じ質問をされて嫌気がさし、また彼のためにも必要かと思い「もうお答えできません」と言った。すると彼は私に殴りかかってきたのである!