さてここからがひと仕事しなくてはならない。それは男性の性愛性の嗜癖モデルを、インセンティブ感作理論を含めてより包括的に展開している Frederick Toates (2022) の論文「A motivation model of sex addiction(性嗜癖の動機づけモデル)」についてまとめてみることだ。やはりこの Toates の理論が今のところこの問題に関して一番完成されたもののようである。しかしそのまとめはもちろん一人ではできない(というより時間がない)。そこでチャット君の登場である。この論文を読むことなく、以下のようなまとめを作ってくれた。素晴らしい。私自身のコメント(< >部分)を挟みつつ以下に検討しよう。
全体概要:
Toatesはこの論文で、「性嗜癖(sex addiction)」を動機づけシステムの観点から理解しようとする理論モデルを提示している。彼の基本的な問いは、なぜある人たちは、理性的には望んでいないのに、性的な行動をやめられないのか、ということである。ここら辺はISMの主たる関心事である。
Toates 理論の二つの中心的アイデア:
1. 二重過程モデル(Dual Process Model)
Toatesは「快楽」や「行動衝動」がどのようにして生じるかを、「二つのプロセス」で説明する。
✅ System 1(自動的・感覚的・衝動的)
→ たとえば、ポルノ画像や誘惑的な刺激を見たとき、無意識的に身体が反応してしまう。✅ System 2(制御的・理性的・抑制的)
→ 「これはまずい」「これ以上やめておこう」と判断し、衝動を抑えようとする。
性嗜癖の本質は、このSystem 1の暴走とSystem 2の失調のギャップにあるとToatesは考えている。
<うん、ここまではいいだろう。そして人は酩酊をしたりすると、このsystem 2が損なわれ、スキャンダラスな行為に走ってしまうことになる。しかしそもそもSystem 1が備わっていることそのものが男性の置かれた宿命(どうしようもなさ)と言えるだろう。>