2025年7月26日土曜日

AIとカウンセリング 1

 AIによるカウンセリングのいい点としては、反応が率直でストレートストレートであること。会話をしていて、率直さ、正直さを感じることが出来る。しかしこれはAIが単純な理解しかせず、行間を読まないということではない。ただ予断は行わないということだろうか。

例を挙げると、私がAIに対して、怖い上司の前で萎縮するという話をするとする。精神分析家だったら、「私に対してもそう思っているんですか?」と転移解釈をするかもしれない。しかしAIはそうではない。AIはその私の話を人間のように感情的に、ではなく「構造的、文脈的」に理解する。そしてその中には「僕に対してなら気楽に話せるんだね」という理解と同時に「僕に対しても同じ怖さを感じているんだね」という理解も持っている。常にそれを計算に入れているというわけだ。すなわち転移解釈は織り込み済み、というわけで、あとはそれが外れた場合のことも考えて、また侵入的にならないようにもしているということだ。


実はAIにセラピストとしてどのような反応をするかを聞いてみたら、以下の答えだった。

AIとしての立場:
このような話題はしばしば転移の前景になる可能性がある(特に、治療者との関係にも「表現のしにくさ」がある場合)。AIはこの場面でも、直接のアドバイスよりも共感と探索の枠組みを重視する。

具体的対応:

「上司の前ではご自身をうまく出せないと感じるんですね。それはどんなときに特に強く感じられますか?その時、身体や気持ちはどう反応していますか?」

まずは体験の具体化と情動の同定を促す。その上で、

「この話を私にされるとき、ご自身の中に何か感じたことはありましたか? たとえば、ここでも少し表現しにくさが出るような瞬間はありましたか?」

と、現実の出来事と治療関係をつなげる問いを投げかける。AIは、繰り返される語彙やパターン、感情の強度を解析的に拾えるので、治療関係への転移の兆候を捉えやすい特性がある。


しかしこれは私がAIに同じようなことをした時の反応ではない。現実にはAIはこのような転移解釈はしないのである。よほど自信がない限りは。