ジャニーズ問題の最大の点は、ジャニー喜多川が厳しく罰せられなかったのかという問題である。しかし性犯罪に関する法律は何と1907年(明治時代)より、2017年に改正されるまでは変わっていなかったという。それまでは強姦 rape は対象は女性のみであった!そして2017年に強制性交等罪に代わったが、それも不完全だった。男女を問わなくなったが、これが欧米に比べてとても成立しにくいという事情があった。つまりそこに暴行や脅迫 があったことを証明しなくてはならない。「拒否できなかった」だけでは証拠不十分で成立しないという。(欧米では明確な同意のあるなしが問題となる)また性同意能力年齢は何と13歳からあると考えられていた。つまり 13歳より下なら罪になるが、13歳以降なら同意したということになってしまう。ちなみに諸外国では16歳など、米国では州によっては18歳であり、いわば先進国の中で日本だけが例外であるという。(これも明治時代以来変わっていない。つまりこれは現在でも同じなのである。 しかも性教育は文科省では、中1では妊娠する過程については説明しないとなっている。13歳は教えられていないのに同意できる!!!という不思議な状況。ユネスコだと9~12歳で、妊娠、及び避妊の方法を教えることになっている。(ただし暴行,脅迫がなくても看護者 からの性暴力はいかんとなったのが2017年で、イギリスだと教師、コーチ、雇用主なども入れている。支配的な関係に陥りやすい人。)喜多川はこれに当てはまらないというのだ。何しろ犠牲者は13歳以上、例えば15歳など。彼は性同意年齢に達していた中学生男子を主に狙っていた。そして暴行、脅迫はなく、マッサージから始める。子どもはここで断るとデビューできなくなるとわかっていたから拒否しなかった。合宿所で暴行を受けた。一番厄介なのがこのような関係であろう。 グルーミングgrooming とは性犯罪用語であるというが、もとの意味は動物の毛つくろいであり、信頼関係を築くことに派生している。そして最初はその様な形で関係を結びつつ、最終的には性的な関係に及ぶという行動をさす。つまり最初に「いい人」「優しい人」と信じ込ませれば、それ以降にされたことは愛情や親愛の表れだと思ってしまう。すると最終的には被害者は加害者を守るようになるという。 その流れは次の4段階であるという。 1.観察 挑戦的defiant な子を避け、孤独で悩みを感じやすく、脆弱な子供を選ぶ。 2.物理的、精神的に孤立させる。それが合宿所。それが起きやすいような仕事に就く。 3.信頼させる 秘密を作る、贈り物をする、などの行為。 喜多川の場合は自宅の鍵。 4.身体的に接触することへの抵抗を徐々になくしていく。最初はくすぐり、そのうちマッサージ、ハグ、などと進んでいく。