2024年6月15日土曜日

PDの臨床教育 4

 私がこの原稿を書いていて有難いと思うのは、これまでわからないままになっていたbig five に掲げられていた以下のタイプに納得がいったということである。要するに学術用語に惑わされていたのだ。だいたい「精神病性 VS 透明性」などと言われても何のことだかわからないのが普通ではないか。


1,情緒安定性 ⇔ 神経症性(否定的感情) 

2.外向性 ⇔ 内向性(孤立傾向)

3.同調性 agreeableness ⇔ 対立 antagonism

4.脱抑制 disinhibition ⇔ 誠実性

5.精神病性 ⇔ 透明性 lucidity 


でもうんと砕いて言えば次のような事だろう。(あくまでも私の主観による)


1.情緒安定性 ⇔ 神経症性(否定的感情) 

何時も気持ちが安定していて落ち着いているという傾向 ⇔ 気持ちが不安定で、というよりは怒りや悲しみと言った負の感情を体験しやすいという傾向と言い直すことが出来るだろう。これはわかりやすい。

ここで「否定的感情」のかわりに「肯定的感情」を考えたなら、喜び、安心感ということになるが、それらを体験している人は結局は「心が安定している人」ということだ。だから「肯定的感情⇔否定的感情」としなくてもいいのだ。これはわかりやすい特性と言えるが、それを情緒安定性⇔神経症傾向、などと言うからわからなくなるのだ。


2.外向性 ⇔ 内向性(孤立傾向)

人と交わることを好むか、孤立を好むかという対立軸で、これもわかりやすい。そしてこれは1.肯定的、否定的感情の問題とは別の話だ。感情的な人が他人を巻き込む場合には、かなり迷惑な存在になるだろう。他方では人嫌いだが、それに満足する人もいるだろう。
 ただし孤立しがちな人が否定的な感情を持ちやすいのではないかというassumptionを私達は持ちやすいとは言えるのではないか。孤立を好む人は対人接触をストレスに感じ、怒りや憎しみをそれだけ表現しやすいということもあるだろう。だから1と2が完全に相関しないかは疑問ではないか。