2024年6月16日日曜日

PDの臨床教育 5

 3.同調性 agreeableness ⇔ 対立 antagonism

人と和するか、それとも対立するか。これも2と同じ議論になりそうだが、次のような疑問が生まれる。「人と同調しやすい人は、外向性も高いということになりはしないか?」「孤立がちな人は、周囲になびかないから、対立的と言えないだろうか?」うーん。そんな気もしてくる。つまり2,3はある程度相関があるのではないだろうか。この同調性⇔対立という言葉は、このままでいいだろう。そして次に行こう。


4.脱抑制 disinhibition ⇔ 誠実性 conscientiousness

実はこれが一番わかりにくい気がする。脱抑制的な人は思い付きで行動し、感情表現をする。衝動的、と言ってもいい。「誠実」な人はルールを守り、周囲に迷惑をかけないというわけだ。これは2とも3とも従属的な関係を持ちそうだ。突飛な考えをする人は、対立傾向が高くなるだろうし、すると結果として孤立してしまうというパターンを考えやすいからだ。逆に周囲に気を使い、ルールを守る人は周囲とうまくやり、孤立することは少ないだろう。ところでこの後者のconscientiousness を「誠実性」と訳しているわけだが、もっとピッタリなのは「思慮深さ」ではないだろうか。あるいは入念さと言ってもいい。そしてこの対は「衝動的⇔思慮深い」という言い方をすると最もよくわかるのだ。


5.精神病性 ⇔ 透明性 lucidity 

これもまたよくわからない。先ほどはこれを「奇妙な思考をするタイプ⇔常識タイプ」と言い換えたが、そもそもlucidity 透明性、というのが分からない。しかしlucid で英和辞典を引くと、1.澄んだ,透明な. 2.頭脳明晰(めいせき)な.3わかりやすい,明快な.とある。つまり明快で誰にでも理屈が分かるという意味だ。lucid explanation というと「透明な説明」とは絶対に訳さない。「明快な説明」だろう。lucid とは明快さ、分かりやすさ、なのである。だからこれを言い換えると、「奇矯さ ⇔ 分かりやすさ」がぴったりくる。