2024年6月17日月曜日

PDの臨床教育 6

 ということで私なりにDSM の5つの特性を言い換えたのが以下の通りである。

1.陽性感情⇔陰性感情

2.外向性 ⇔ 内向性

3.同調性⇔反発性

4.衝動性⇔思慮深さ

5.奇矯さ ⇔ 分かりやすさ


かなりわかりやすくなっていないだろうか?要するに人は、どれほど機嫌がいいか、どれほど人に賛成するか、どれほど人に溶け込みやすいか、どれほど衝動的か、どれほど思考が分かりにくいか、という5つのそれぞれ独立した指標でその性格を言い表すことができるというわけだ。

 以上はDSM-5の話だが、ICD-11 がこれとは微妙に異なるから厄介なのだ。いったいどちらを信じていいのやら。どうせだったら統一してほしいのに。

そこでICDの方を見てみよう。ICDは特性として、否定的感情、離隔、脱抑制、非社会性、制縛性の5つだ。DSMの5つと似ているようで似ていないようだ。しかしよく見ると、DSMの5つはだいたいそのうちの3つはICDに引き継がれていることが分かる。


1,情緒安定性 ⇔ 神経症性(否定的感情)  そのまま(否定的感情)

2.外向性 ⇔ 内向性(孤立傾向)そのまま (離隔 detachment )

4.脱抑制 disinhibition ⇔ 誠実性 そのまま(脱抑制)

3.同調性 agreeableness ⇔ 対立 antagonism のかわりに?非社会性dissociality 

5.精神病性 ⇔ 透明性 lucidity のかわりに制縛性(強迫性)anankastia


 問題は同調性⇔対立という軸の代わりに、好社会性⇔非社会性が入っていることだ。これは同一のこととは言えないであろう。前者(DSM-5)は要するに人とどれほど対立するか、という問題だが、後者(ICD‐11)は人にどれほどの悪さをするか、ということである。私としては後者の方が特性として入ってほしいと思う。なぜならこれはいわゆる反社会性パーソナリティやサイコパスに関するものだからだ。そもそもパーソナリティ障害の始まりは、この犯罪者性格をいかに扱うか、というところから出発していたからである。