2024年4月10日水曜日

解離ーそれを誤解されることのトラウマ 4

  Meganckの論文の結論部分は注意深く読んでみよう。彼は言う。PTMもSCMもともに重要なことを言っている。それはDIDを理解する上で、トラウマも、底流にある主観的な構造underlying subjective structure も、どちらも大事だということだ。分析的に言えば、主観的な形成 subjective formation の二つの側面、すなわちトラウマと構造を表しているのだが、この両者のギャップをどうして埋めることが出来るかについて議論していない。SCMの主張の一部は当たっていて、それはDIDについて巷で言われることがDIDの症状や交代人格の増産 proriferating of alters に貢献しているのは確かだということである。何しろ Kluft のケースの一人は4000名の交代人格を有したりするのだから。

 しかしPTMが主張するような構造的なトラウマ structural trauma が生じていることは確かであり、症状は心の機能の構造的な分離 structural division を表しているのである。異なる同一化の層 identificatory layer はしばしば葛藤を起こし、それは容易に抑圧の対象となる。そしてトラウマの体験により生じる、他者の願望を満たすための努力がDIDの形成に繋がるのだ。この異なるいくつかの願望による分断を扱うことがなければ、この問題は永遠に消えることはない。

そして以下がとても大事なところなので直訳を試みる。「交代人格たちが自己の非現実的なパーツであり、より good で現実的なパーツに取って代わらなくてはならない、と考えるべきではないのだ。交代人格はその主体に属した異なる無意識的な願望を表しているものだと考えることがとても重要である。It is crucial for the therapist to understand these so-called alters as reflective of different unconscious desires and thus as belonging to the subject, rather than considering them to be unreal parts of the self that must be overcome in lieu of the good  and more real parts.」 DIDの症状にのみ焦点を当て、パーツのマッピングを行なうなどのテクニックに走ると、主体の願望 subject’s desire を犠牲にして症状を形成することになってしまう。私達はラカンの一見単純な提言に従うべきだ。「精神分析はただ一つの媒介物 medium を持つ。それは患者の言葉 speech である。」

どうだろうか。この論文の意味は通じるだろうか。