- 精神病 ・・・ トップダウンの過剰な重みづけを行う。例えば皆が自分を狙っているという思考は、あらゆるインプットをそれに沿うように理解してしまう。
身体化障害、うつ病・・・ ボトムアップ(内,外受容)の過剰な重みづけ。胸がドキドキする、胃がキリキリする。(ただしそれに過剰な意味付けを行うという意味では、上の精神病と質的にはあまり変わらない気もするが。)
トラウマ ・・・ 事前予測の不十分さ
うつ病 ・・・ 内受容を抑圧してPEMを利用できなくする
物質乱用、自殺行為、パーソナリティ障害 ・・・ トップダウンとボトムアップの交渉(デュエット・フォー・ワン)に他者を招き入れずに、一人で何とかしてしまおうとすること。
OCD(強迫性障害)・・・ ボトムアップによる情報の複雑性を減らせないこと
第5章 トップダウン、ボトムアップの自動性を切り離す(uncoupling)
この章も面白い。というか私が考えたこともなかった内容である。トップダウンとボトムアップは、両方が自動的につながっていることが多い。そしてそれが色々な問題を起こす。両者を切り離すことにより、自由連想や夢分析、転移、メンタライジングが可能となるというのだ。本当だろうか?確かに夢も自由連想も、あるインプットにとんでもない解釈の仕方をする。そもそも外界からの情報は極めて多彩で、一義的にとらえられないものである。それに決まりきったパターでしか反応しないことからさまざまな問題が起きる。Holmes は結局それは「転移」なのだという。「この先生はどうせこれまでに出会った大人と同じことを考えているに違いない」というわけだ。メンタライジングや自由連想はこのuncoupling に貢献するというのである。ここら辺の議論はニューラルネットワークの改変というテーマと非常に似ているといっていい。