この絶体依存期(ウィニコット)における愛着の成立が右脳の正常な発達に不可欠である。
← 母親の鏡の機能により(ウィニコット)
← 母子の情動調律により(ショア)
私達は乳児がいつもこのような宇宙と一体となった心地よさを体験しているとは考えないであろう。母乳を与えられて充足し、母親の腕の中で眠りにつこうとしている乳児はその状態かも知れない。あるいは胎児の状態がその一つの在り方だったのかもしれない。しかしそれは空腹感やその他の身体的な不快感、あるいは恐怖感により交感神経系の興奮が生じ、泣き叫ぶと言った状態により常に破られかねない。いかにこの宇宙一体となった気持ちを取り戻すかは、母親のケアを介して乳児の右脳自体がそれを行なえるようになる必要があるのである。
さてこのように右脳の機能および愛着トラウマによる右脳の機能の障害が、その後の左脳の過剰代償と組み合わさった場合に何が起きるか。次の二つのことが起きる可能性がある。
● 情動を伴った、対人間の関りに裏打ちされた言語機能の未発達。
● 極端分析的で、秩序や細部へのこだわり。
これはASDの病態そのものではないか。
すなわちASDは生まれつきの要素以外にも、環境による右脳の発達不全を素地とする可能性は考えられないか。