2023年9月10日日曜日

連載エッセイ 8 番外 1

 

WHOLE BRAIN 心が軽くなる「脳」の動かし方 ジル・ボルト・テイラー 竹内薫訳 と読んでみる。例の、左脳の出血で右脳だけになった脳科学者が書いた二番目の本である。この本の最初の章を読み始めて分かったのは、すでに私が書いた左右脳に関する考察のレベルだったら、米国ですでにブームとなり、多少なりとも誤解を生んだ左右脳に関するいくつかの説とあまり大差ないという事である。私があまり考慮していなかったのは、左右脳とも辺縁系(海馬、扁桃核、帯状回)を一そろいずつ持っていて、左脳はそれ独自の、右脳もそれ独自の情緒的な反応を持っているという事だ。決して右脳のみが感情を司るわけではない。そしてもう一つは左右脳とも互いから切り離されて単独で機能することなく、両者は同時に働き、そして互いに抑制し合っているという関係にある事だ。テイラー博士は不幸中の幸いであることに、左脳の機能の低下が、AVMという動静脈流からチョロチョロと出血したことで、左脳の機能が段階的に失われていくのを体験し、それを記録することが出来たという事だという。ともあれこの本を少し読んでいく。さもなければ私の「第8回」は誤りに満ちたものになってしまう可能性があるからだ。