2.ネットワークの結晶がひとつの具体的な体験を構成する
この2番目の原則も非常にシンプルな事実を示していることになる。常に揺らいでいる神経細胞は、それでも時には明確な振る舞いをする。それは大きな信号を発してそれを周囲の神経細胞に伝えるのである。そしてその結果としてそれを受け取った神経細胞がグループとして興奮、発火することがある。イメージとしては夜空の無数の星のうちある星座だけがリズミカルに光っている感じだろう。現実にはそんなことは起きないが。
私がこのGIFアニメで示したいのはそのような状態である。ただしその星座もよく見ると細かく揺らいでいるという意味では1.を満たしているのだ。このネットワークを構成する神経細胞は厳密には一定していなかったり、その一部だけあまり鮮明なネットワークを作れなかったりするのだ。(もちろん図1にはそこまで描き込むことは出来ていない。)
ここでの「具体的な体験」とは概念でも知覚でも記憶でも何でもいい。例えばこれが「リンゴ」についての体験を表しているとする。「リンゴ」は「リ・ン・ゴ」という音としてのそれだけでなく、その視覚的イメージ、手に持った時の重さや手触りなど、様々な体験を併せ持つだろう。だからこの「リンゴ」を代表するネットワークは聴覚野にも視覚野にも体性感覚野にもそのネットワークを広げていることになる。
【以下略】