2023年6月11日日曜日

エッセイ 4 推敲 1

4.脳の表面ではダーウィニズムが支配する

 


脳のあり方の基本形

 今回は脳の働きの基本形について述べたい。13回までで、AIと脳の類似性についてはその大枠についてすでに説明した。私は人間の脳とは巨大な(しかし微細な)ネットワーク構造になっていると述べた。そして脳が機能しているということは、その神経細胞により構成される網目構造、つまりネットワークの中を広範囲にわたって電気的な信号が行きかっている状態であると説明した。

 そのさらなる説明のために、まず私はいわゆるニューラルネットワークについて説明した。それは脳の神経細胞どうしのつながりをかなり荒っぽくモデル化したパーセプトロンに端を発していた。入力層と出力層という、いわば入り口と出口を備えた構造をお示ししたのを覚えていらっしゃるであろうが、それをきわめて複雑な形にしたものが、最近のAIを支えるディープラーニングと呼ばれるものだったのである。

テキスト

自動的に生成された説明そこで漠然と示したかったのが、脳の網目構造とAIの網目構造は、あくまでも似ているらしい、ということである。人間の脳は自然が作った生命体である。他方ではAIはその人間が人工的に作ったものである。両者は全然異なるはずだ。そこで私は「AIがつくるのは【心】と表記し、あくまでも本物の心とは区別しましょう」と提案したのだ。(例の     =心という数式のことである。)

そこでここからは心(【 】なしの)を生み出す脳の網目構造、すなわちニューラルネットワークの話になる。それはどのような特徴を持つのだろうか。私はそれを以下の4項目にわたって挙げたい。

1.脳の基本的なあり方は揺らぎである。

2.ネットワークの結晶が一つの具体的な体験を構成する。

3.分かる、とはネットワーク間の新たな結びつきの形成である。

4.脳の表面ではダーウィニズムが支配する


【以下略】