ジャニーズ事務所の問題よりおそらく私たちが扱いやすいのはジェフリー・エプスタインをめぐる事件だ。ジャニーズ事務所の場合はその被害者たちが実は私たちの多くがアイドルとして、つまり理想化の対象として日常的にメディアで接している人たちであり、彼らは犠牲者であることだ。そしてこの問題について論じることは、私たち日本人の多くが再トラウマ体験を負うことにもつながる。あまりにつらいではないか。
私がエプスタインの話に切り替えるのは、これが海外で起きたことであり、ジャニーズ事務所の問題を扱うよりも心が直接的には痛まないからである。ジャニーズ事務所の問題を否認したいからではない。(もちろんエプスタイン事件の犠牲者を身近に知っている人たちにとっては、それを論じることで非常に苦しい思いをすることは間違いない。)
この事件をかいつまんで。大富豪のエプスタインは、カリブ海の自分の所有する島で18歳未満の少女を囲っては自身の性行為の相手をさせていたという。そしてFBIが2019年7月に逮捕。その後彼は原因不明の獄死を遂げた。
この事件の最大の余波は、彼の様々な交友関係にある様々なセレブ達が事件に関与していたことにある。そこにはイギリス王室のアンドルー王子までが含まれ、当時は少女であった女性が王子と性的行為をさせられたと訴え始めたという。そしてこの問題はコロナ前の世界での最も話題を呼んだニュースの一つだったという(私は実は全く知らなかった。無知は恐ろしい。)
ところでこの事件には、何とビル・クリントン元大統領(再び登場だ)、ドナルド・トランプ前大統領、ビル・ゲイツ氏なども含まれているという。(クリントンは自家用機で若い女性とともに何度もエプスタインの別荘に出入りしている。)
以下はネット情報をもとにまとめているが、エプスタインの秘書の持っていた「黒革の手帳」というのも見つかり、そこにセレブの名前も沢山載っていたというのだ。しかしここもなんともミステリアスなのだが、エプスタイン氏は2019年に収容先のマンハッタンの独房で、首つり自殺を遂げたのだ。しかしこれには当然陰謀論があるし、実際に他殺であったことの証拠さえあるという。
更にこのことが分かっていてもエプスタインの行為が繰り返されたのもジャニーズ事件と似ている。更にはCIAのスパイであるという説まである・・・・・。
ジャニーズ事務所の問題との共通点は、そこで数多くの未成年が性暴力の犠牲になった可能性、そしてそれが社会の強大な力により否認される傾向にあるということだ。