2023年5月20日土曜日

社会的なトラウマ 4

 男性性とトラウマについての議論で、おそらく一番欠けていると思われるのが、当事者の目線からの議論である。性的な衝動、攻撃性の衝動は基本的に男性ホルモンに大きく左右される。多くの男性による加害行為は、その衝動はそれを論じている男性の側にもその萌芽は存在することがある。火種は男性の心にあるのだ。しかし多くの場合それらの衝動を発揮する人間は多くの常識的な男性とは異なり、犯罪者性格や重症の自己愛PDを持った人間として扱われる傾向にある。結局自分のことを棚に上げた論述が多い。それはそうだと思う。自分たちと同類の、すなわち成人男性がそれらの犯罪を犯していることについて本来は罪の意識を感じ、自分たちの仲間に代わって謝罪する立場に置かれるのは辛いことだ。 性的衝動により社会的な生命を奪われているのもまた男性である。
 先日ネットで報じられたニュースである。
 「〈名前も知っているし裸の写真も撮っているから、もう一度会わないとさらすぞ〉押収した男のスマートフォンには、被害女性を脅すこんなメッセージが残されていたという。警視庁池袋署は5月8日、準強制性交の疑いで東京都豊島区の舞台監督・谷本雅彦容疑者(40)を逮捕した。昨年5月、20代の女性Aさんに性的暴行を加えたとされる。調べに対し、谷本容疑者は「同意のうえだった」と犯行を否認しているという。https://news.livedoor.com/topics/detail/24219200/

何とも卑劣な行為である。しかしこの元芸人さん、加害行為を行った結果として自分自身も社会的な生命を失う結果になっている。男性のセクシュアリティの悲劇的なところは、それが他者を傷つけるだけでなく、この上ない恥をさらし、社会的な信用を失うことにつながるからである。米国の元大統領のビル・クリントン、最近の黒岩知事のみに起きたこと、有名な俳優であり歌舞伎役者であるKT氏、元アイドルのYTに起きたこと。(別に彼らだけイニシャルにする必要ないか。)他者にも自分にもこれほどの災厄をもたらすもの。これが男性のセクシュアリティである。