2023年3月18日土曜日

現代における心身相関の問題 抄録案

 心身相関の問題は医学においては古くてしかも新しいテーマである。いわゆるMUSmedically unexplained symptoms 医学的に説明できない症状)を呈する患者をいかに理解し、扱うかは、いつの時代にも私たちにとって最も難しいテーマの一つであり続けるからだ。MUSの患者の多くは、かつてはヒステリーという呼び名に括られていた人々である。そして患者の呈する症状は誇張されていたり、演技であったり、疾病利得のための詐病と見られる傾向にあった。現代ではそれらを「心因性」の疾患ととらえる傾向にあるが、そこに含まれる「心が生み出す症状」というニュアンスはともすると詐病や虚偽性障害と無縁ではないというニュアンスを与えかねないという問題がある。ところがMUSと見なされた障害の多くについて、最近次々と生物学的基盤が明らかにされつつある。それらの代表としてはME/CFS(筋痛性脳脊髄炎)、FM(線維筋痛症)、IBS(過敏性腸症候群)などが挙げられるであろう。


以下略)