2023年2月17日金曜日

私の共感論 2

 今でも精神分析的な精神療法の世界では、患者に対してどのようなアプローチを取るかで、しばしば議論になる点があり、それは「優しさによる治療か、厳しさによる治療か」という論点である。そして精神分析の世界では常に、可能な限り厳しく、必要とされる分だけ優しく、という考え方が主流である。いわゆる探索的(表出的)か、支持的かという言い方であれば、 
Be as expressive as you can be, and as supportive as you have to be.Wallerstein, 42Lives, P688

結局これを皆信じているのだ。

ワーラースタインは次のような考え方が分析家の心の底にはあったという。

「内的な葛藤の解決を導くような、表出的な方法により得られた変化は、支持的方法「のみ」によりもたらされた変化より、より広範に及び、より永続的で、将来の環境の変遷や圧力により強力な耐性を持つ。」

その後ギャバードさんも、「支持的療法による変化が、表出的療法により得られた変化に比べて永続性がないという証拠はない」ということを言っているのは頼もしい。

結局こう言える。「支持的、共感的なアプローチが治療において本質的な役割を持つということを否定する根拠はない」・・・・。