2023年2月26日日曜日

現代における心身相関の問題 5

 もう一つは線維筋痛症fibromyalgia FM であるが、一昔前まではFM/CFSという形でCFSと一組で論じられていたものが、両者はたもとを分かっているらしいのだ。ME/CFSについての論文を読みながら、私はFMも当然こちらに吸収されたものと思っていた。というより「ME」はFSの新しい呼び名かと思っていたのだ。ところがFMも独立して健在である。ここがよく分からない。だって両者とも慢性的な前進の痛みと疲労感と抑うつを示すという意味で共通しているからだ。MEの診断を満たすがFSは満たさないという人も、その逆もちょっと考えられないであろう。

そこで知りたいことがある。FMME/CFS(以下、省略してMEとする)は同じものなのか、違うのか?

戸惑うのはFMの論文を読んでいるとそれだけについて、MEについてもそれだけ書いてあり、相手のことを触れていないのだ。「FMMEは同じものなのか違うのか」、というそのものずばりのテーマをあつかった論文に出会っていない(まだ勉強不足なのか?)。それをこれから探るのであるが、一つ言えるのはFMは、リュウマチ・膠原病科の医師が中心となっているのに比べて、MEの方は神経内科など、それ以外の医師たちが論じているらしいということである。でも両者は似ているのである。そして色々話を聞いていると、両者は結局は中枢神経系の過敏性ということで共通しているらしい。そしてそれは痛みや疲労に対する敏感さに留まらない。光、臭い、味、触覚、音、薬物への敏感さも含む。片頭痛、IBSなども含む。

時々鑑別診断としてお互いに触れることはあるが、決まって「両者の多くは重複している」とそっけなく言っているに過ぎない。じゃあ、どうして「FM/ME/CFS」と表記しないのですか、と問われるときっとこういうだろう。{だってそれじゃ長すぎるし…・}

ちなみにこれから先に述べるとおり、PNESと解離性障害についても同様のことが言える。PNESとは神経内科医が使う用語だが、それは転換性障害の一つとして精神科医があつかうものと同一のものだ。しかしどちらの側の論文を読んでも互いのことはあまり言わないのだ。それにPNESと「痙攣を伴う機能性神経学的症状症(転換性障害の一つ)」は同じものか違うのか、というテーマそのものについて扱った論文も読んだことはない。というよりその論文は、「結局両者は同じものである」という一行で終わってしまいかねないだろう。

話を戻して。

こんな記述に留めよう。「研究によりME/CFSの人の多くに免疫、内分泌、脳の異常が見られる。もし広範囲の痛みが報告されたなら、圧痛点の検査により線維筋痛症も並行して診断しなくてはならない。」(Primer, p14)ウーン、どうも消極的な書き方である。