2022年11月19日土曜日

ブロンバーグ覚書

 近くブロンバーグについての講義をする際のパワポの内容をまとめた。

アラン・ショアによる長文の序文

●トラウマ理論、サリバン、エナクトメント、脳科学 愛着理論

これらの合流を先導した一人 

根っからのサリバ二アンでトラウマ論者

●タイトルの「Tsunami」 とは自分の存在の継続自体が脅威となるようなトラウマ

で「自分でない自分not-me(サリバン)」が形成される

治療過程では「安全だが安全過ぎない」関係性により、早期のトラウマが痛みを感じながら再体験される

●ブロンバーグによる抑圧と解離の区別

抑圧 ← 不安に対する反応

解離 ← トラウマ(サリバンの言う深刻な不安severe anxiety)に対する反応(ただし軽いものは正常範囲でも起きうる。没頭している時など)

●ブロンバーグのコフート的な特徴

患者は分析家から受け入れられるだけでなく、必要とされている事をも求めている。そして、それ(愛)が最早期にかけていたことがトラウマとなったのだ。

●治療的なアプローチとしてはDIDのそれに似る

「私は貴方には後ろに隠れている別の部分があって、その部分は私が今しがた行ったことを嫌っているような気がするのです」

●ブロンバーグの治療概念 治療者と患者の間で起きる解離とエナクトメントを感じ取ることが重要である。そこで問題となるのは「象徴化以前の subsymbolic (ウィルマ・ブッチ)」、「未構成の unformulated (ドネル・スターン)」、「解離しているdissociated (ブロンバーグ)」もの 。そこで重要となるのが「なんとなく sort of 感じるもの」、心のざわつき chafing (D・スターン)

治療は技法に沿っても、それだけにはとどまらない。(ちょうど演奏家が単に楽譜にかかれたものをなぞるのではないように。)

●ブロンバーグにとっての無意識について

無意識には内容があるのか?無意識的空想という概念に疑問を有する。言葉にされたものはすでに対象化され、その意味では無意識でない。無意識は患者と共に生きられる(エナクトされる)ものだ