2022年11月5日土曜日

感情と精神療法 書き直し 2

 臨床家フロイトの発見
ブロイアーの導きのもとで臨床家となったフロイトが極めて興味深く体験したことがある。患者は催眠を通して過去のトラウマ体験を回想して情動体験を持った後にヒステリー症状が改善することがある。いわゆるカタルシス効果や「除反応」と呼ばれるこの現象にフロイトとブロイアーはいたく興味を持った。表現されていない感情が蓄積されることが症状を生み、それが表現され、発散されることで症状が軽快するという理解がフロイトのおおもとの発想だったのである。フロイトは患者に対して過去のトラウマの想起を促すための働きかけを行うようになった。ただしすべての患者にそれがうまく行くわけではなく、またすべての患者が催眠にかかるというわけでもない。そして最終的にはこの手法を緩徐な形で行う自由連想法が考案されたことになる。また催眠がこの種の情動体験により導かれる症状の軽減は、臨床が過度のケースとも体験し得ることではないが、時々それにかなり近い現象が臨床上見られることもある。そしてある種の感情の体験が治療にとって必須であるという考え方が生まれた。

精神分析における自由連想法はしかし情動体験を導くという結果を導くとは限らなかった。しかしその代わりに精神分析においては転移を扱うということによりとってかわられたのである。