2022年9月19日月曜日

不安 推敲の推敲の推敲 2

 2.不安についての脳科学的な理解

 不安に関しては近年脳科学および精神薬理学的な研究が進んでいる。それらの知見を基にして不安を恐れfear と心配 worry とに分けるという見解が見られる(Stahl,2013)。恐れとはある種の恐怖体験のさなかに体験される急性の不安であり、その体験にはパニック発作やトラウマ的な体験及びフラッシュバックが該当する。それに対して心配とは、恐怖体験が将来起きるであろうということを予想しつつ感じる不安のことである。Stahl は不安をこれらの二つに分け、それぞれ異なる神経ネットワークに関連しているとする。

恐れ Fear は扁桃核中心の経路 (「恐れ経路」と呼んでおこう)であり、心配 Worry は皮質線条視床皮質(CSTC)ループ(同じく「心配経路」)であるとする。

(これから起きること)「心配ループ」すなわち「恐れ回路」に関しては、扁桃核-眼窩前頭前野、扁桃核―前帯状皮質の二つのネットワークが過活動を起こしている状態とされる。そしてそこで中心となる扁桃核は視床下部-下垂体-副腎皮質(HPA)軸を刺激してストレスホルモンを分泌させ、青斑核を刺激して血圧や脈拍の亢進を引き起こし、傍小脳脚核を刺激して呼吸に影響を与え、過呼吸などの症状を引き起こす。