2022年8月5日金曜日

パーソナリティ障害 推敲 6

推敲、とか言って新たに書き足している・・・知らないことばかり勉強しながら、である。 

PDのディメンショナル(次元)モデル

個々人が有するパーソナリティの理解は一般心理学におけるテーマでもあったことは言うまでもない。そして精神医学的なPD論とは別に、科学的に検証された方法論に基づく数量的な評価を求める動きがあった。それは人間存在を生物―心理―社会的な三つの次元を統合したものとするという考えに基づいていた。その代表とされるのがCloninger のモデルであった。彼は人格の次元として七次元を抽出し、そのうちの四次元を生物学に大きく規定される気質と、他の四次元を環境的要因に左右される性格と呼んだ。そして気質としては新奇性探求 (ドーパミン系)、損害回避 (セロトニン系)、報酬異存 (ノルエピネフリン系)、固執(神経経路は不明)の四つが挙げられ、そして性格としては「自尊心」「協調性」「自己超越性」をあげた。そして私たちの性格はこの四気質と三性格の相互の組み合わせにより説明されるとした。(ちなみに気質と神経伝達物質との関係はその後さまざまに議論されている。)

Cloninger, CR. "Temperament and personality", Current Opinion in Neurobiology Volume 4, Issue 2, 1994, Pages 266-27

その後パーソナリティに関しては5因子モデルに基づくというコンセンサスが生まれた。いわゆるFFMfive factor model)である。それらがN (neuroticism), E (extraversion), O (openness to experience), A (agreeableness), C (conscientiousness)である。これをもとにしてPD5つのディメンションが作成された。それらが以下の5つである。

否定的感情(⇔ 情動安定性)、離隔(⇔ 外向性)対立(⇔同調性 agreeableness)、脱抑制(⇔誠実性  conscietiousness)、精神病性(⇔透明性lucidity