DSM-Ⅳまでのカテゴリカルモデルに対する批判には疫学的な問題も多く絡んでいた。つまりカテゴリー的なPDはそれぞれの概念は直感的に理解できるものの、実際にどのように分布してどれだけ多く存在するかといった疫学的な視点は希薄であった。そのため、例えばⅡ軸に記載されるPDと1軸の精神障害の合併が高率であったことによる多軸評定の撤廃、NOSの存在が多くなったこと(同じく赤119)診断閾値に基づく現代医学的なアプローチと矛盾していること(9つのうち5つを満たせばOK、といういわゆるポリセティックな診断方式では、あまりにもそれに該当するケースの異質性が目立つ)
またDSM-5において第Ⅲ部においても選定された6つのPD(境界性、反社会性、回避性、自己愛性、強迫性、統合失調型)は、「選に漏れた」4つ(猜疑性、シゾイド、演技性、依存性)に比べて有病率も高く、トラウマの既往も高く、物質依存なども多かった。つまり概念としては分かるが、あまり実際の患者の数に反映されなかったということだ。