反社会性PDの治療
反社会性PD(以下ASPD), 特に純型の精神病質者の治療は精神療法においても薬物療法においても希望が持てないとされる(Gabbard )。他方では反社会的特徴を有する自己愛パーソナリティ障害や気分障害が見られる場合には症状の改善の余地があるとされる(Gabbbad)。
一般にASPDは外来環境で衝動を発散する行動のはけ口がある限り、自らの感情に触れようとしない(Gabbard)。しかし幾つかの報告では入院治療に効果があるとされる(Salekin,
et al, 2010)。ただしASPDの入院治療においては厳しい治療構造やルールの順守が要求される。患者が治療構造を破壊しようとする傾向やスタッフの抱く強い逆転移感情がしばしば問題となる。そのため一般病棟にASPDの患者を入院させることには極めて強い配慮と治療的な構造が必要とされる。均一なASPDのグループ治療では互いに手の内を知っている患者同士の直面化が功を奏する可能性がある。(Raid 1985, Yochelson and Somenow 1977.) 一般に不安や抑うつの存在は、治療効果が見いだされるサインと言える。逆に器質的な障害、過去の逮捕歴などは治療効果があまり見られないとされる。
また意外なことに、ASPDの薬物治療に関しては、効果のあるものは報告されていない。
ちなみにここは原田隆之(2015) 入門 犯罪心理学. ちくま新書. を参考にさせていただいた。良著である。