逆転移の話に戻る。今では逆転移は有力な情報を治療者自身に与えてくれるということになっている。しかしFreud の姿勢は違った。逆転移は分析家は認識し、克服しなくてはならないと言ったのだ。(かつてネットで拾ったファイルで、フロイトがこのcounter-- を何度用いたかをすぐに検索することが出来る。フロイトのスタンダードエディションの内容がすべて一つのファイルにまとまっている海賊版がネットで拾えるのだ。全3881頁。今アイパッドに入れて愛用をしている。以下はそのうち二か所。カッコ内はそのページ。)
Countertransference arises as a result of the patients 'influence on
his UCS feelings and we are almost inclined to insist that he shall recognize this counter-tr in himself and overcome it.(Fr.1836) We ought not to gibe up the neutrality toward
the patient, which we have acquired through keeping the countertransference in
check.(Fr.1896)
結局この逆転移という言葉はフロイトの全作品の中では4回しか出てこない。ともかくも私はフロイトの逆転移の考えは正しい点と間違っている点があると思う。正しいのは、これは克服すべきものだという点。間違っているのは克服できると彼が思っているようであるという点。逆転移は結局は治療に対して障害になることは確かだろう。もちろん意識化され利用される逆転移もあるだろう。しかしそれはその時点でもう本当の意味での逆転移ではないのだ。問題は無意識的な、あるいは否認されている逆転移だろう。