2022年4月20日水曜日

他者性の問題 74 割れた鏡かジクソ―パズルか?

 Putnamの離散的行動モデル

  Frank Putnam 先生の議論についてはかつて触れているが、ここで取り上げたいのは、彼の離散的行動モデルである。交代人格を一つの人格ではなくて部分と見なすという傾向の一つの源はこのモデルに見出すことが出来る。そこで本章ではこのモデルについて解説をしたい。

 Putnam のあまり引用されていない論文に以下のものがある。

「ディスカッション:交代人格は断片か、虚構か? Discussion: Are Alter Personalities Fragments or Figment(A Topical Journal for Mental Health Professionals Vol 12, 1992,  Issue 1: pp.95-111. という論文である。この論文はそのタイトルにもあるように、ある臨床家(Dr. Lyon)が提出したケースに対するディスカッションという形を取る。この論文でPutnam 先生は「別人格alter personalityは一種のセンセーショナルな描かれ方をされるためにいくつかの誤解を生んでいる。その中でも問題なのは、別人格が別の人間と考えることである。」

そしてPutnam Dr.Lyon の論文についてコメントする。Dr.Lyonは異なる人格の存在を、粉々に割れた鏡のようなものと表現しているが、それは違うとする。それは最初は一つだったものが断片化されたものだ。「だからより適切な比喩は、まだ出来上がっていないジクソーパズルが組みあがっていくようなものだ。」(p.102)

人格が割れた鏡かジクソ―パズルか、というわけだが、私はこれを図にしてみた。左が割れた鏡モデル、右がジクソ―パズルモデルである。


私はこの議論はDr.Lyon の比喩の方が適切だと思う。なぜならどの鏡のかけらにも人を映し込む力があるからだ。割れた鏡は、一部が目を、別の一部が鼻だけをうつすという事はない。逆にPutnam 先生の前提こそが問題ではないか。