器や唇などの感覚器との関係を示したものだ。一番左に書いた点線の〇は漠然と私たちの心、意志のセンターと思って戴きたい。もちろん心はこのように一か所に集中しているところではないが、どこかで全体的な判断をする場所としては前頭葉が挙げられる。そして人間らしい高度な判断はこの前頭葉の広範な破壊で失われるために、ここのどこか、あるいはここ全体が意思のありかであると考えられている。この前頭葉は脳の各部分の情報を一手に担って判断を下すところである。その意味で「S」(subjectivity, 主体)と名前を付けておこう。さてそこから「腕を曲げろ」という指令が大脳の運動野(オレンジ色の部分)に伝達されると、そこからは筋肉に信号が送られる。今度は逆に感覚器から送られてくる信号は、感覚野(黄緑色の部分)に送られて、そこからSに伝えられる。(どうして感覚器として、目とか耳とかを例として挙げないかというと、これらの感覚は独立した視覚野、聴覚野という広いエリアに送られてくるので、それ以外の感覚が送られてくる感覚野への入力の例として唇やその他の皮膚感覚を挙げたのだ。)