あれから色々ネットで調べ物をしていると、こんな記事に出会った。
AIにとっての“自意識”や“感情”とは? 海外文献や実例から読み解く(2019.02.23
07:00)https://realsound.jp/tech/2019/02/post-322747.html
この記事もやはり、意識を生み出す神経ネットワークのメカニズムについて説明しているが、そこで挙げられている理論はグローバルワークスペース理論と、統合情報理論である。このうち前者については以下のようなまとめ方をしている。
「グローバル・ワークスペース理論」で「意識」は過ぎ去った記憶の呼出・保存・処理などができる、コンピュータメモリのような動きをするものだと提唱した。彼の理論によると、記憶が保存されているメモリーバンクから情報を引き出し、脳内に散布させる行為が「意識」を指すと考えられる。グローバル・ワークスペースにはメモリーバンクの記憶がロードされ、さまざまな認知機能が自由にアクセスして処理することができる。そのため、「ワークスペースにロードされた」=「意識にのぼっている」情報の処理は、無意識の情報処理に比べて有用だと考えられる。その後、Baars は「グローバル・ニューロナル・ワークスペース理論」を提唱し、脳科学的に検証できるように理論を発展させた。この理論では、意識にのぼっている情報について、広く分布したニューロンの集団からなるグローバル・ワークスペース内の情報であると定義。これにより、意識にアクセスできる情報とアクセスできないものが脳内に併存する理由や、意識にまつわる脳活動の特徴や、それが行動にどのような影響を与えるか、などが網羅的に説明できるようになった。」
これはDCのアイデアとかなり違うようである。DCがネットワークの内部でのダイナミックな情報のやり取りが意識を生むと言っているが、Baaars
の理論はもっと「静的」な、まさしくコンピューターのメモリーのようなものだと言っている。うーんこれはどうかな。ついでに統合情報理論についてまとめているサイトにも行ってみる。おっとこれは英語だった。Scientists Closing in on Theory of Consciousness By Tanya Lewis July 30, 2014
https://www.livescience.com/47096-theories-seek-to-explain-consciousness.html
最近になり、科学者たちは、脳の前障 (claustrum) という部分の電気刺激で、意識をオン・オフできることが分かったという。DNAを発見した Watson, Crick 博士のクリック博士の方が、晩年意識の研究に没頭したことは知られているが、彼はこの前障が意識の成立と関係していると提唱したが、あまり支持されてはいないようだ。
ウィスコンシン・マジソン大学の Giulio Tononi 先生は、意識はボトムアップで研究してもダメだと考えたという。つまり脳組織を取り出して絞っても意識のエッセンスは出てこない。それよりも意識そのものから出発すべきだと考えた。そしてこんなことを言ったらしい。意識は多彩な情報の統合体であり、それは分解できない。例えば景色を目にしたとき、その白黒映像だけ取り出すことや、左半分だけを体験することは出来ないという意味だ。そして最近では、どれだけの情報が統合されたかをコンピューターで数値化できるようになっている。
Tononi 先生はその値を φ (ファイ)と表すのだ。それがゼロならすべてのパーツに分解することが出来る。(私なりに説明するならば、(例えば100×100のマスの一つ一つが白か黒かに塗られていても、それが全体として見えないと統合された情報はゼロ、ということになる。こんな例でいいのだろうか。)するとその意識の精細さはこの φ の値の高さを表すことになる。ということで彼の理論は一種の panpsychism,汎意識論ということになり、人間だけでなく猿も犬も、アリも、意識があることになる。ただ φ の値が下等生物になればなるほど小さくなっていくだけだ。そしてこの理論に従うと、コンピューターは決して意識を持たないという。それを Christoph Koch 先生は次のように言ったという。「コンピューターは気象をシミュレーションできるが、それ自体は雨に濡れることはない」といったというが、私にはこの意味は分からない。