2021年3月18日木曜日

エッセイの書き直し トホホ・・

 CPTSDのエッセイを書いたつもりだったが、題名を間違えていた。編集部のリクエストはパーソナリティ障害とCPTSDであった。とすると恐ろしいことだが・・・・

書き直しである。まあ部分的には使えるかもしれないが。

「私はCPTSD(複雑性PTSD)についての随想を書かせていただく。実は私のこのCPTSDという概念にはそれなりに思い入れがある。この概念は1992年にジューディス・ハーマンにより提案された。彼女はその著書 Trauma and Recovery (Herman, 1992, 邦訳「トラウマと回復」)の中でこの概念を打ち出したのであるが、そのころ米国にいた私は、この著書が周囲の臨床家にかなり熱狂的に迎えられたことを記憶している。それ以来DSMICDなどの国際的な精神疾患の診断基準は、これをそのリストに掲載するか否かの議論を重ねてきたのだ。そしてその結果として今回ICD-11 にこれが所収される運びになっていることを私はとてもうれしく思う。私はCPTSDも、そしてそれ以外のいかなる診断名についても、それがラベリングであるという事はわきまえているつもりである。そしてその上で言えば、CPTSDというラベリングはある一群の人々の持つ特徴を表す際に非常に有用であるように思う。そしてそれは私が特に臨床現場で解離性障害を持つ方々に出会うことが多いという事が関係しているかもしれない。またそれ以外の理由でも私にとってCPTSDは「他人事ではない」診断だが、その理由を少しお話する。」

とまあ書いたわけだが、やはりここには但し書きがあった。ハーマンのこのCPTSDの概念には、BPDがこれである、という想定があった。彼女は従来BPDと呼ばれていた人たちの多くが、これに相当すると考えた。彼女によれば、いわゆる「ヒステリー」DID,BPDは生育期の虐待により生じた精神疾患であり、CPTSDと呼ばれるべきだと主張したのである。林先生を引用する「そこで規定されたCPTSDは、とくにBPDとの間でパーソナリティ特性などの共通性が高い。しかしICD-11では、CPTSDBPDと別の構成概念であるという研究所見(Cloitre,et al 2014)に基づいて、CPTSDPTSDの一型として、BPDと一応別の独立のものとしてとらえられることとされた。」まあ、そういうことだろう。