2020年10月12日月曜日

他者性の問題 完成形 

 やっと書きあがった。最初の部分だけ。


我が国においてポリサイキズムは可能か?

― 解離性障害における「他者性の問題」

京都大学 教育学研究科  岡野憲一郎

 

解離における他者とは何か

本日の発表では、「我が国においてポリサイキズムは可能か?-解離性障害における他者性の問題」というテーマでお話をする。ポリサイキズム poly-psychism とは多重心、すなわち一人の人間がいくつかの心を同時に持つという状態である。具体的には解離性同一性障害(以下、DID)などの状態を指す。
 私がなぜこのテーマを取り上げたかと言えば、DIDの患者さんの多くが「自分は自分であり、ほかの人格とは一緒にしないで欲しい。」と主張するにもかかわらず、一般人や臨床家の一部は、この点を理解しない傾向にあるからだ。彼らは交代人格を一人の独立した存在と認めることに抵抗を示し、心の一部分として扱う傾向にある。そのために患者さんは「わかってもらえていない」と失望することが多いのである。つまりポリサイキズムの状態は人々には受け入れ難いのだ。これはわが国だけの特徴だろうか?

(以下略)