2020年9月23日水曜日

治療論 1

  解離性障害の治療ということで書いてみる。すでに書いたことではあるが、精神分析の文献を検索するときに用いるPepwebで解離dissociationを調べると、すごく上昇傾向にあることが分かる。Search for Words or Phrases in Context (Use Quotes for Phrases): dissociation調べると、確実に増えている。それに伴って解離をどのようにとらえるかということについても一つの大きな転回点を迎えている。Itzkowitz (2015) 先生の「解離的な転回」という論文はそれを表しているのだ。その中では、治療は統合に向かうべきではないという。これは心を一つという信念を超えていることになるが、それでいいのか、という議論はかなり本質的な問題である。でもそれはフェレンチの言ったことを反映しているともいえるのだ。それは精神分析の治療にどのような影響を与えるのだろうか。

Itzkowitz, S (2015) The Dissociative turn in psychoanalysis. The American Journal of Psychoanalysis.75:145–153.

解離について精神分析の内部と、その外側からの視点を少し考えてみるならば、一方では分析の内部における黙殺がある一方では、やはり顕著なのは断片仮説である。断片仮説の端緒はひょっとしたらフェレンチかもしれない。彼が fragment ということを言い出しているからだ。しかし他方ではジャネは第二原則などということを言い出していることはご存じかも知れない。彼は断片化は起きない。新たな生成であるという。