2020年1月8日水曜日

ポリヴェーガル 1


ポリヴェーガル理論
最近のトラウマに関連する欧米の書籍で、ボリヴェーガル理論 Polyvagal theory に言及したものを見ないことはあまりない。トラウマ関連のみならず、解離関連、愛着関連など、あらゆることにこの理論がつながっているるという印象を受ける。この理論の正体は一体なんであろう。そしてどのように感情の問題に関連しているのだろうか。
ここでより体験的に、ポリヴェーガル理論の伝えていることを述べたい。私たちは普通の生活では、概ね平静にふるまうことが出来ているはずだ。少し動揺することがあってもだいたい立ち直ることが出来る。それは the window of tolerance 許容範囲、耐性の窓などと呼ばれる。そこでは少し動揺させることが起きても、迷走神経の一部、腹側迷走神経 VVC ventral vagal comlex が呼吸や心拍数を鎮め、安定させる。ところがそれ以上の刺激になると、そこから撤退する必要が生じ、いわゆる闘争-逃避 fight-flight 反応が起きる。この時は交感神経系が活動する。しかしそれでも対処できない場合には、今度は最終手段としての背側迷走神経 DVC dorsal vagal complex が働き、凍りつき freezing が起きる。この逃走-逃避反応とフリージングという三つのFは従来から言われてきたことだが、Stephan Porges が提唱しているポリベーガル理論は、先ほどの VVCについての理論化を行うことで、トラウマやストレスに際する様々な反応を包括的に記載することを可能にしたのである。