2019年7月1日月曜日

AIと精神療法 推敲の推敲の推敲


AIに精神療法は可能か? (未完原稿)

AI(人工知能)に精神療法は可能なのだろうか? 実に挑発的で魅力的なテーマをいただいた。もちろんこの件に関してはさまざまな立場があろうことは想像できる。「ある意味では可能でもあり、別の意味では不可能でもある」という結論を導けば一番無難なのかもしれない。しかし私はこうして書き出す段階では「結論から言えば将来的には、ある限定的な意味では可能であろう」という議論を展開する予感がある。

(中略)

出会いはいつ、どのような形で訪れるかわからない。そしてそれは生身の人間との間でしか成立しないだろう。しかし生身の人間は実はこれらを提供することのできる第一の候補者でありながら、同時に自己愛や悪意や嫉妬を併せ持つという宿命を持つ。AIパートナーとの関係においては、少なくとも彼からの決め付けや差別的な発言や加害行為という阻害因子となるような要素は除外できるはずである。生身の人間との理想的な出会いの機会を待ちながら私たちが孤独をかみ締めて生きていくうえで、おそらくAIパートナー(AIセラピスト、ではなく)がある種の決定的な役割を果たすようになるという予感がするのだ。

参考文献)
石蔵文信(2011)『夫源病こんなアタシに誰がした -』(大阪大学出版会)
伊藤穰一 (2019) 「人工知能」は終わる。これからは「拡張知能」の時代がやってくる.MACHINE 2019.06.15
狩野芳伸 (2017) コンピューターに話が出来るか? 情報管理vol.59 no.10 pp.658-665
松尾豊(2015)人工知能は人間を超えるのか 角川EpuB選書
岡野憲一郎(2018)快の錬金術. 岩崎学術出版社
安永浩 (1987)精神の幾何学、安永浩、岩波書店