2019年5月16日木曜日

AIと精神療法 ⑥


ここで石蔵文信氏の議論を発見した。(石蔵文信(2011)『夫源病- こんなアタシに誰がした -』(大阪大学出版会))
いわゆる「夫源病」の発案者だ。彼の議論は最近注目されているが、読む人によってはとんでもないと感じられる内容だ。私なりにサマリーをすると、要するに男性が自分のことばかり考えていて妻の話を聞けないことが妻の精神的なストレスとなっているという。ここまではいい。しかしそのためには聞いたフリをすればいい、そしてそのための「技術」として妻の話を鸚鵡返しし、時々「それは大変だったね」とか「ごくろうさん。ありがとう」などと付け加えれば、さらに効果的であるという。なんと相手を馬鹿にした議論だろう。でも私はどのような議論にも真実が含まれていると思う。それは人は相手が自分の言葉を繰り返すということで、分かってもらっているという「錯覚」を持ちやすいという事実だ。そしてこれは一時的にではあれ相手の気持ちをつかむ上で重要なかかわりなのである。そこで・・・・・
 皆さんの想像通りである。AIに相手の話の内容をごく短くまとめて伝えるようなソフトを与えるのだ。これは相手の話を理解して応答するという高度の技術を持たなくていい。そこで仮想上の夫のAIロボット。ネーミングはもう決まったようなものだろう。「オットボット」。あるいは「オットロイド」。

こーぺい君でもいい?

 皆さんは皇帝ペンギンならぬ「肯定ペンギンのあかちゃん」の話をご存知だろう。私はこれを聞いた時、ロボットのことかと思っていた。AIを積んだ小さなロボットが、日常のちょっとしたことを褒めて(肯定して)くれる。
ところがこれはLINEスタンプだという。「ちゃんと起きてえらい!」「生きててえらい・・・!」といった、誰もが当たり前だと思っていることをあえて褒めてくれるという。もうこれでもいいか。