2018年12月20日木曜日

解離の本 59

昨夜は京都市内のまんざら亭仏光寺店での、学生たちとの打ち上げ。料理が一つ一つおいしかった!

1. 黒幕人格の定義といくつかの特徴

黒幕人格という名前が付いているからと言いって何か特別の人格ということはありませんが、いくつかの特徴により、臨床的に大きな意味を持つ人格といえます。第一の特徴として、「怒りや攻撃性を持つ」ということが挙げられます。黒幕人格が表に出ると、他人に対して暴言を吐いたり、暴力を振るったり、物を壊したり、犯罪行為に及んだり、深刻な自傷行為や自殺企図を起こしたりします。また表に出ていないときでも、その存在感やそれが発するオーラが周囲に感じられ、それに対して遠慮をしたり、それを刺激しないようにという気遣いが、患者さんだけではなく治療者の側にもおきることがあります。「黒幕」という表現はそのような隠然たるパワーを発揮するというニュアンスを含みます。いわばその患者さんの背後で「睨みをきかせて」いる」わけです。
2つ目の特徴としては、それが識別されにくく、ある意味で匿名的であるということです。英語圏でも黒幕人格は “it” (それ、隠れんぼの鬼)”unknown” などの呼ばれ方をすることがあります。交代人格にはたいていの場合何らかの名前が付いていますが、黒幕人格の場合にはそれが付いていないことが多く、またその姿かたちも他の人格のように他の人格によって把握されていません。そして黒幕人格が誰に由来するのか、過去の迫害的な人たちのうち誰に最も関係が深いかがわからないことがあります。