第4章「サイコパスの知恵 the Wisdom
of Psychopaths」 では、Dutton さんの幼馴染の話が出てくる。砂場遊びをしていたときに彼がほんの少しちょっかいを出しただけで、いきなり目をつついてきたというジョニーは、学生時代になって自分の宿題が出来ていないのでダットンさんの宿題を見せて欲しいといい、勝手にそれを自分のものとして出したりしたが、「だって仕方がないだろう?」 とまったく悪びれる様子はなかったという。長じてジョニーはどうなったか? 国家の機密を握るシークレットサービスに就職したという。そしてその話との関連で「007」のジェームス・ボンドも、ある意味でサイコパスの典型的なイメージを代表してるという。それは恐れを知らないこと、衝動性、スリルを求めることだというのだが、007をほとんど見たことはないけれど、そんなに衝動的なシーンってあったのだろうか。むしろ行動の一つ一つがすべて計画や作戦に裏打ちされているように描かれていたと思うが。ただし女性を好む(引き寄せる?)、というもう一つの特徴はボンドも確かにもっていた。
ダットンさんはそれから一つの興味深い研究を紹介する。一般の人々と、扁桃核、眼窩前頭前野、前島皮質などに障害がある人にギャンブル・ゲームをやってもらったという。すると脳に異常があり、リスクを省みない人々の方がより勝負強かったという。脳に障害を持った人々は事実上サイコパスの人たちの脳機能と同じ問題を持っているが、その方がかえって勝てたという。余計な不安を持たないことが、自分の本来持つポテンシャルを伸ばす可能性を発揮できるということらしい。