2018年10月25日木曜日

パーソナリティ障害はまだ ・・・ 17

 またダットンさんの本に戻ってきた。しつこく読み続ける。もう200ページは超えているが、まだ面白い話が出てくる。
 株のトレーダーには、一ドルたりとも負けたことがないというツワモノがいるそうだ。ダットンさんはそのうちの一人とのインタビューをしたというが、それが面白い。その人は自らを「サイコパス」と呼んでいて、サイコパスのテストをしてもやはりスコアが高かったという。その人の話によると、プロの有能なトレーダーたちは、彼も含めて株の売買に関して、一切感情を株の売買の決定プロセスに持ち込まないという。それらの人は一日の取引が終わって帰宅するときも、決してその日に何億も負けたからといって落胆したり、逆に何億稼いで意気揚々としていたりはしない。いつも同じ表情だという。これがアマチュアだと一喜一憂してしまい、それが悪影響を及ぼす。たとえばものすごく勝った日などは、早々と「今日は終わりにしよう、これ以上やると負けるから」と切り上げてしまう。ところがこのような人は「過去に生きる」人であり、結局は最終的には勝てない。このような人は勝ってうれしい、という気持ちにとらわれてしまっているからで、逆に負けると熱くなって、負けを取り戻そうとして傷を深めることになるのだ。
これを書いているうちに「機能的なサイコパス functional psychopath」の意味がわかってきたぞ。自在にそのモード、現在を生きるモードに入っていける人だというわけだ。何日か前に書いた、百戦錬磨の戦士 Andy のように。
 しかしここでまたわからなくなる。サイコパスはその時々の快楽で生きているように描かれているが、するとどうして彼らが有能なトレーダーになれるのだろう?彼らは衝動的に無茶な売買をして金をスッてしまうのではないか。いや、ここで有能なサイコパスとそうでないサイコパスが分かれるのだろう。有能なサイコパスほど報酬を先送りできる。彼は最終的に大きな報酬を得ることが目的だ。そしてそのためにはいくらでも無慈悲になれるし、目先の小さい快,不快には頓着しないということか。ちょうど少しの罰など頓着しないサイコパスたちのように?
 でもここで私はますますわからなくなる。サイコパスは鈍感で、かつ快楽主義的という、相矛盾した部分を備えているということだろうか。ここら辺を明らかにするためにこの本を読んでいるのに、まだわからないでいる。
サイコパスの世界も奥が深いものだ。